
Googleの「AI検索は良いもの」という発表、素直に信じて大丈夫?
「トラフィックは安定している」「クリックの質が向上している」——これは、Googleが2025年8月に公式ブログで発表したAI検索に関する見解です。一方で、複数の第三者機関による調査では全く異なる結果が報告されています。ある調査では「クリック率が30%減少した」と発表され、別の調査では「トップ結果のCTRが32%低下した」との報告もあります。
この相反する情報を前に、多くのWeb担当者や経営者が同じ疑問を抱いています。「結局、私たちのサイトはどうなっているのか?」
答えは、推測ではなく「あなたの手元にある実データ」にあります。Googleの主張が正しいのか、それとも第三者機関のレポートが実態を表しているのか。Search ConsoleとGA4を使えば、自社の状況を正確に把握できます。
「Googleの言葉を待つのではなく、あなたの手元にあるデータで真実を確かめましょう。」
STEP1:クリックは本当に減ったのか?- Search ConsoleでCTRを検証する

AI検索が影響を与えやすいクエリの特徴
AI Overviewsは2025年3月の時点で約18%の検索で表示されており、以下のようなクエリで特に影響が出やすいことが分かっています:
- 質問形式のクエリ(「〜とは」「〜方法」「〜やり方」)
- 長いキーワード(4語以上の複合キーワード)
- How to、What is系のクエリ
- 即答性の高い情報を求めるクエリ
【実践ガイド】Search ConsoleでCTR変化を検証する方法
ステップ1:期間を設定する
- Google Search Consoleにログイン
- 「検索パフォーマンス」を選択
- 期間を以下の2つに分けて比較:
- 比較期間A:2024年3月〜5月(AI Overview本格展開前)
- 比較期間B:2024年6月〜8月(展開後)、または2025年同月
ステップ2:主要クエリのCTR変化を確認
- 「クエリ」タブを選択
- 表示回数の多い上位50クエリを抽出
- 各クエリについて以下を記録:
- 表示回数の変化
- クリック数の変化
- CTR(クリック率)の変化
判断基準:何が起きているかを見極める
- パターン1: 表示回数は維持、CTRが大幅減少 → AI要約に答えが奪われている可能性
- パターン2: 表示回数も減少、CTRは維持 → 検索ボリューム自体の変化
- パターン3: 表示回数増加、CTRは微減 → Googleが主張する「より多くの検索機会」が実現している可能性
特に注意すべきは、「AI要約が表示される検索結果では、ユーザーがリンクをクリックする可能性が低下する」という調査結果です。この傾向が自社でも見られるかを確認しましょう。
STEP2:クリックの「質」は本当に上がったのか?- GA4でエンゲージメントを検証する

Googleが言う「質の高いクリック」とは
Googleは「質の高いクリック」を「ユーザーがすぐに戻らないクリック」として定義しています。つまり、サイトに到達後に:
- 直帰しない
- 滞在時間が長い
- 複数ページを閲覧する
- コンバージョンに至る
これらの指標を、GA4で具体的に測定できます。
【実践ガイド】GA4でエンゲージメント変化を検証する方法
ステップ1:基本指標の比較
- GA4の「レポート」→「エンゲージメント」→「概要」を選択
- 期間を前年同期と比較設定
- 以下の指標を確認:
- エンゲージメントのあったセッション率
- セッションあたりの平均エンゲージメント時間
- ページビュー/セッション
- 直帰率
ステップ2:流入元別のエンゲージメント分析
- 「レポート」→「集客」→「トラフィック獲得」を選択
- 「Organic Search」セグメントのみに絞り込み
- セッションの平均エンゲージメント時間を前年同期と比較
ステップ3:ランディングページ別の深い分析
- 「レポート」→「エンゲージメント」→「ランディングページ」
- 検索流入の多いページを特定
- 各ページの以下を比較:
- 平均セッション継続時間
- ページ/セッション
- コンバージョン率
判断基準:真実はデータが教えてくれる
分析結果から以下のパターンが見えてきます:
パターン1:CTR減少 + エンゲージメント向上 → Googleの主張通り。量は減ったが質は向上
パターン2:CTR減少 + エンゲージメント維持 → 中性的な変化。戦略の見直しが必要
パターン3:CTR減少 + エンゲージメント低下 → 明確な悪化傾向。早急な対策が必要
STEP3:どんなコンテンツが評価されているのか?- コンテンツ形式のパフォーマンスを検証する

AI時代に評価されやすいコンテンツとは
Googleの発表によると「フォーラム、動画、ポッドキャスト、オリジナルの投稿で、本物の声や第一人者の視点が聞ける」コンテンツへの流入が増加しているとのことです。
具体的には:
- 実体験に基づく詳細なレビュー
- 専門家による深い分析
- ユーザーの生の声(口コミ、体験談)
- オリジナルの調査結果や事例研究
- ステップバイステップの実践ガイド
【実践ガイド】コンテンツタイプ別パフォーマンス分析
ステップ1:コンテンツを分類する 自社サイトのコンテンツを以下のカテゴリーに分類:
- ノウハウ記事(How-to、解説系)
- 事例・体験談
- 商品・サービス紹介
- ニュース・お知らせ
- Q&A・FAQ
ステップ2:GA4でカテゴリー別分析
- 「探索」→「自由形式」でレポート作成
- ディメンションに「ランディングページ」を追加
- 指標に以下を設定:
- セッション数
- エンゲージメント率
- 平均エンゲージメント時間
- コンバージョン数
ステップ3:Search Consoleでの検証
- 各コンテンツカテゴリーの代表的なページを選択
- 「ページ」フィルターで個別ページの検索パフォーマンスを確認
- クリック数、表示回数、CTR、掲載順位の変化を追跡
見えてくる傾向:データが示す新しい方向性
多くの分析で共通して見られるパターン:
- 簡潔な情報提供型コンテンツ:CTR大幅減少、エンゲージメント低下
- 深い分析・体験談系コンテンツ:CTR維持または微減、エンゲージメント向上
- 専門的なHow-toコンテンツ:CTR微減、エンゲージメント大幅向上
これは「AI応答が概要を提供するが、人々はより深く学ぶためにクリックする」というGoogleの説明と一致する傾向です。
データ分析の次の一歩:よくあるご質問(Q&A)
慌ててリライトする必要はありません。まずはSTEP2のエンゲージメント指標も確認しましょう。もしエンゲージメントが上がっているなら、「より意欲の高いユーザーだけが来ている」という良い兆候かもしれません。両方下がっている場合は、AI要約で答えが完結してしまっている可能性が高いので、より深い洞察や付加価値を提供する内容へのリライトを検討します。
まずは「エンゲージメントのあったセッション」「セッションあたりの平均エンゲージメント時間」「表示回数」の3つに注目しましょう。これらが前年同月比でどう変化しているかを見ることで、サイトを訪れたユーザーの「熱意」の変化を大まかに掴むことができます。
無理に今すぐ始める必要はありません。まずは既存のブログ記事の中で、「ユーザーの具体的な体験談」や「専門家としての個人的な見解」を追記するなど、「信頼性」や「独自性」を強化することから始めてみてください。また、よくある質問をまとめた「Q&Aページ」を作成するのも、AI時代に評価されやすい有効な手法です。
データの解釈には専門的な知識が必要な場合があります。もし判断に迷われたら、ぜひ私たちにご相談ください。貴社のデータを拝見し、現状の課題と、AI時代に最適化されたコンテンツ戦略をご提案させていただきます。
まとめ:データに基づき、次の戦略を描こう
分析から見えてくる新しいトラフィックの現実
検証の結果、多くの場合で以下のパターンが確認されています:
「トラフィックの消失」ではなく「トラフィックの再分配」
- 表面的・即答性の高いクエリ:AI要約で完結、サイト流入減少
- 深い悩み・複雑な課題に関するクエリ:サイト流入の質が向上
- 専門性・体験性の高いコンテンツ:競合優位性が向上
これは終末ではなく、コンテンツ戦略の転換点です。AI検索時代では、「何を書くか」以上に「なぜあなたのサイトを訪れる必要があるのか」が重要になっています。
次に取るべきアクション
- 即答性コンテンツの見直し:簡単な質問に答えるだけのページは統合・削除を検討
- 専門性の強化:体験談、事例、オリジナル調査を充実
- 深掘りコンテンツの作成:AI要約では得られない詳細な分析や実践的なガイド
- 定期的なデータ監視:月次でCTRとエンゲージメントを継続監視
あなたの会社の「データに基づく意思決定」をサポート
ドリームサウンドでは、こうした詳細なデータ分析から始まり、AI検索時代に最適化されたコンテンツ戦略の立案、そして実際のコンテンツ制作・運用まで、一貫してサポートしています。
「Googleの発表に一喜一憂する」のではなく、「自社のデータに基づいて冷静に判断し、戦略を立てる」——これこそが、AI検索時代を勝ち抜く企業の条件です。
この記事では、ご自身のデータを使ってAI検索の「今」の影響を検証する方法を解説しました。では、Google自身はAI検索の未来をどう語り、私たちはそれにどう備えるべきなのでしょうか?
その答えとなるGoogleの公式発表と、私たちがそこから読み解いた「マーケターが今すぐ備えるべき新戦略」については、以下の記事で徹底解説しています。
【Google公式発表】AIは検索を代替しない。むしろ”10%増やす”という衝撃データと、マーケターが今すぐ備えるべき新戦略
自社データの分析や、次の戦略立案に不安があれば、ぜひ一度ご相談ください。あなたの会社固有のデータを読み解き、最適な次の一手をご提案します。
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この記事が、あなたのビジネスの課題解決へのヒントとなれば幸いです。もし、この戦略をあなたのビジネスに合わせて具体的に落とし込みたい、あるいは、我々ドリームサウンドの専門知識を活用したいとお考えでしたら、まずはお気軽にご相談ください。私たちは、無理な営業は一切いたしません。あなたの課題を整理し、次の一手を共に考える、最初の30分は無料です。
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